テープバックアップの課題と代替ソリューションについて

磁気テープによるバックアップは一見安価なため、数年前は企業バックアップの中心的存在でした。ですが、現在多くの企業がテープからクラウドベースのバックアップなどに切り替えています。

なぜ多くの企業がテープバックアップからクラウドへと移行しているのでしょうか。今回は、実際の事例を交えながら背景を紐解きます。

 

その1. テープバックアップの利点と問題点

テープバックアップの主な利点は、媒体が安価であり、かつ 1つあたりに記録できる容量が大きいことです。

ですが、テープバックアップは下記の問題点があります。

・バックアップや復元に特別な装置が必要になる
・遠隔地へ送付する手間(あるいは取り寄せる手間)がかかる
・媒体破損の可能性がある
・特定のデータのみを取り出す、消去することができない

上記より、テープバックアップは、「手作業が毎日発生することは厭わない」企業において、「取り出しはしないが、とりあえず取っておきたい。最短4日でデータが戻れば良い」というデータの二次保存には適しています。ですが、「人的コストを最小限にしたい」企業における「何かあったらすぐに取り出したい」データのバックアップには不向きです。不向きであるどころか、後者のような企業がテープバックアップを用いている場合、事業継続性を大きく損なう可能性があります。

 

その2. テープバックアップの代替としてのクラウドネイティブソリューション

現在テープを使っている企業にお話を伺うと、クラウドバックアップは「運用コストがかかり、高いイメージがある」「現状の運用を変えたくない」という意見が出て来ます。

ですが、本当にこれらは移行を断念するほど高いハードルなのでしょうか。

 

2-1. 「媒体費」以外のコストを試算する

確かにクラウドバックアップは「サービスの利用料」が月々(あるいは年間)かかります。ですが、それ以外のコストはほとんどかかりません。

一方、テープバックアップの場合、下記を考える必要があります。

・人件費
・運送、郵送にかかるコスト
・保管費用
・設備費(リース代)

確かにテープ1つあたりに保存できる容量は大きく、価格は安いですが、上記のコストを合わせて考慮する必要があります。

 

2-2. 復元時の運用とコストを考える

クラウドネイティブのバックアップサービスであれば、Web 上の管理コンソールから数クリックでデータを復元できます。GUI がシンプルなものを選べば、万が一の際に担当者が操作をできない状況下でも、非 IT 社員が操作できます。

一方テープバックアップの場合、テープを遠隔地から郵送する必要があります。通常時なら数時間で行き来ができる場合でも、災害などの有事の際はどの程度の時間がかかるか、考慮する必要があります。

その際、例えば郵送に最大 1週間かかるのであれば、「1週間データがなくて業務が止まった場合にビジネスに与える損失」を、上記のコストと合わせて、適切に試算する必要があります。

また、テープから復元するには誰がどの作業をするべきなのかを明確に定める必要があります。災害などの場合は、テープ復元のための装置自体が壊れていた場合にはどうするのかも考える必要があるでしょう。企業によっては、自社だけでは復元できない場合もあるようです。災害時、事業者が迅速に対応してくれるのかも確認する必要があります。

 

2-3. 本当に変える必要がある運用とコストを考える

選択したクラウドバックアップに必要な設備を適切に考える必要があります。

そのクラウドバックアップが、効果で複雑な専用アプライアンスや帯域の広い専用回線を要求する場合、他のサービスを検討する必要があります。クラウドバックアップ技術が進化した現在、これらの設備が不要なサービスが増えています。

一方、専用アプライアンスも回線も不要なサービスの場合、「変えるべき運用」とは何でしょうか。「もうテープの入れ替えをしたり郵送しなくて良い」だけではないでしょうか。自社にテープバックアップが最適ではないかもしれない、という懸念がある場合、これらの懸念や課題を深く見ていく必要があります。

 

その3.  クラウドネイティブのバックアップが提供する付加価値とは

上記で見てきたように、テープバックアップからクラウドバックアップに移行することで、コストを簡素化し、復元を迅速に行えるようになります。テープやテープ装置など、減価償却やリース代が必要なものを資産として抱える必要も無くなります。

ですが、クラウドバックアップが提供するメリットはそれだけではありません。

 

3-1. 集中管理でエンタープライズレベルのデータ保護を

テープバックアップの場合、他拠点のサーババックアップまで管理することは容易ではありません。拠点担当者と連絡を取り合い、適切にテープにバックアップできているか、郵送できているかなどを確認しあう必要があります。

あるいは、他拠点のデータは管轄外だからといって、諦めてしまうケースもあります。ですが、言わずもがな、他拠点のデータも企業の重要な財産です。

クラウドバックアップの場合、ブラウザ上の Web コンソールから数クリックで世界中のサーバの状況を確認できます。復元の操作やバックアップ設定の変更も、自席にいながら容易に行えます。

 

3-2. 全てのサーバを管理

物理サーバ、仮想サーバ、データベース、NAS に対応しているソリューションを選べば、IT の管理は圧倒的に容易になります。

 

3-3. サーバのクラウド化まで視野に入れて

昨今、様々な企業がサーバのクラウド化に取り組んでいます。
オンプレミスのサーバからクラウド上のサーバまでシームレスに対応できるクラウドバックアップサービスを選べば、クラウド移行に伴うデータ破損リスクや工数を圧倒的に削減できます。

 

その4. 実際にテープバックアップからクラウドバックアップへ移行した例

新潟を拠点にするシステム開発会社、株式会社アイテックは従来のテープバックアップからクラウドバックアップへと移行しました。

従来は、基幹サーバのバックアップをテープに取っていました。見直しの際、テープバックアップも候補に上がりましたが、テープ装置代の初期費用がクラウドバックアップ利用料の3年分近くかかりました。

また、テープバックアップでは毎週のテープ入れ替えと監視が必須でした。一方、クラウドバックアップでは、日々必要な操作は一切ありません。

さらに、株式会社アイテックでも、テープバックアップからの復元に課題を感じていました。従来のテープバックアップでは、テープのイメージバックアップデータをまず専用ツールで展開し、そこからさらに復元作業を行う、という非常に複雑なフローが必要でした。テスト復元を一度だけ行った時は、この作業だけで半日以上を要しました。

ですが、クラウドバックアップでは数クリックで復元が可能です。

株式会社アイテックは、現在 2台のファイルサーバと基幹サーバをクラウドバックアップを用いて保護しています。
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